春の陽にきらきらきらきら光る海のずっと向こうに
たぶん網をしかけている船の影
大陸からの黄砂なのか、空は薄いベールに覆われていて
望遠で撮ると灰色の水平線。
こんな日に思い出す句があって。。。
春の海 終日(ひねもす)のたりのたりかな 蕪村
京丹後で詠まれたというこの句を知ったのは何かと追い立てられていた高校のときで
句の中にうかがい知る「のどかさ」や「まどろみ」が、ただ恨めしく思えた。
友人がこのような俳句を詠んで面白がっていたのも覚えている。
春なのに終日のたうちまわりたり
「たり」は「完了」じゃなくて「存続の『たり』だからな」
と、しきりに言っていたことによって、仲間うちはみんな、「たり」の意味用法を確実に覚えられた。
前半は遊び惚けたおかげで、後半はノタウチマワッタ高校生活。
今は「なにもかも皆懐かし」くて、今や、年中ずうっと「のたりのたり」だ。
そして、
恨めしかった「ひねもすのたり」がそれほど楽しいものではないともわかりたり。