路地裏の空

創作日記・乱調随筆

歌うつくつく法師と悲しいニイニイゼミ

いくつかの小さな急造台風が日本列島付近を貫けていった。

 

しばらく蝉の声

が途絶えていたが

昨日あたりからまた聞こえてくる。

 

騒がしいクマゼミアブラゼミの声は聞こえず

つくつくほうしに主役交代らしい。

 

よく聴いていると

イントロが演奏されてから

「ほーーーしーつくつく」の繰り返しが始まる。

そして、最後は後奏がちゃんとある。

こんな感じだ。

 

前奏

じーー・ひょろひょろひょろ

主旋律

ほーーーしーーつくつく

ほーーーしーーつくつく

ほーーーしーーつくつく

後奏

つくつく・いーよ・つくつく・いーよつくつくっ

-----------------------------------------------------------------

短いフレーズだが、これほどちゃんとしたな曲を奏でる動物は

他にウグイスくらいのものではないか。

いや。ウグイスより構成のきちんとした楽曲だ。

雄の蝉が雌の蝉を誘っているというが、アレンジ

 

それにしても、小型のせみを全く見なくなった。

ニイニイゼミという小さな蝉は、

米軍の迷彩服みたいな羽根をしていて、

木にとまっていると見つけにくいが、動きは遅くて捕まえやすい。

蝉取り初心者の子供にとっては入門編みたいなものだった。

なのに今、この近辺のどこにもいない。

一方で、大型の蝉は運動能力が格段に下がってしまった。

かつては捕獲が難しくて上級者向けだったクマゼミが、今、素手で採れる。

 

なんなんだ、これは。

日本の夏がそこまで変わったとは思えないのだが。

蝉の生態は確実に変わり、

ニイニイゼミは確実に絶滅の道をたどっている。