ひどい雨の夜が明けた朝、
汚れた毛並みの野良猫ハッチが裏道を通り過ぎるのを見かけ、
汚れた毛並みの野良猫ハッチが裏道を通り過ぎるのを見かけ、
「あ、ハッチ!」と後ろから声をかけると、
ハッチは、不満そうに立ち止まってゆっくり振り向き、
疲れたような目でこちらを見た。
疲れたような目でこちらを見た。
もちろん彼は自分が「ハッチ」と勝手に呼ばれていることなど知りもしない。
なのに呼びかけに応じたような気がして、
なんだか嬉しくなって
なんだか嬉しくなって
「おもてにお周り!ご飯やるよ」というと彼は、
重たい足取りだったがグルッと先回りしてやってきて、
私を待っていた。
私を待っていた。
ひどい雨の翌朝の野良猫は
ひどい毛並みで、疲れ切った表情で、
でもしっかりと朝食を召し上がって去っていかれた。
帰る彼の背中にもう一度
「ハッチ!」と声をかけたが、
今度は振り返ることはなく、ゆっくりと塀を乗り越えていくのだった。